校長式辞

校長式辞

2学期始業式 校長講話

生徒の皆さん、おはようございます。

長い夏休みが終了し、本日から2学期が始まります。

 

長い夏休みですので、悩み事や心配事等を相談する機会があまりなかったかもしれません。相談することで解決策が見つかるものです、見つからなくても気持ちが楽になるものだと思います。友達や学校の先生、スクールカウンセラーの先生等に話すのもよいかと思います。

 

私も高校時代がありました。誰に相談したと思いますか。祖母の家には本がたくさんあったので、夏休みは勉強にいって、美味しいものをいただきながら相談相手になってもらいました。お盆や正月は親戚の叔父さんに仕事の話をしてもらいながら将来のアドバイスをもらっていました。勉強方法は先生に質問しました。ある日、教科担任でもない英語の先生にお勧めの参考書は?と勇気を出して聞いてみました。数日後、駿台文庫の伊藤和夫先生の文法書をその先生から手渡されました。嬉しくて、有難くて、何度も繰り返し勉強しました。何度も音読してみました。例えば「be interested in」と何度も繰り返し音読しました。英語学習には何より音読が大切だといいます。「國弘の前に國弘なし。國弘の後に國弘なし」と言われた同時通訳、國弘正雄先生は「只管打坐」になぞらえて「只管音読」を広めました。

 

曹洞宗の開祖である道元禅師は「只管打坐」すなわち、身を正しくして、ただひたすら坐りなさいと言われました。私は仏教系の大学出身で、『只管打座』の教えが好きでした。

 

何のために修行をするのか?悟りを開くために修行すると思っていませんか? この『只管打座』は違うのです。ただひたすらに坐禅をするのです。その先の悟りを意識せず、ただひたすらに坐禅し集中するのです、それは坐禅する姿こそが真の悟り(お釈迦様の姿)だとの教えだからです。

 

一生懸命に努力してきたことに成果が見え始めると人は努力をやめ慢心するものです。するとせっかくの成果は、手の中からこぼれ落ちてしまう。そんな戒めの教えです。私は、何をするにもなかなか行動に移せず、後になって、やっておけば良かったと後悔することがたくさんありました。この言葉聞いたとき私は、「周りのせいにせず、今、してみなさい。その姿が素晴らしいいのです。間違いに気づいたら修正する。今を大切に生きなさい」と言われた気がしました。仏教の教えには、今を生きる我々にも、手を差し伸べてくれる言葉がたくさんあります。秋の夜長、調べてみてはいかがですか。

 

本日は、校訓について話します。

校訓とは、本校の教育を通して、皆さんに「こうなって欲しい」という願いを込めた言葉です。

 

本校の校訓は、「明るく、清く、正しく、強く、美しく」です。

 

まず、校訓の「明るく」についてです。人生には多くの試練や困難があります。勇気を持って踏み出し、乗り越える努力が必要です。そのためには、「自分はできる」「自分は大丈夫だ」というように肯定的に捉えること、ポジティブに捉えることです。その根本にあるものが「明るさ」です。

 

「清く」は、純粋さです。人柄の清らかさは、人として、正しい心を芽生えさせ、歩むべき正しい道を示します。人間誰しもが心の綺麗な人になりたいと願います。願い続けることが、誠実な行動にも繋がります。

 

「正しく」は、正義の象徴です。「天知る地知る己知る」という諺があります。悪い行いは、誰も見ていないと思っても、天の神も地の神も見ています。それをする自分自身の心が見ています。 悪事は必ずいつかは露見するものだということです。誠実に正しく生きることが大切です。

 

「強く」は、強靱な身体と意志の力です。学習、部活動で大切なことは、繰り返しと継続です。繰り返しと継続を可能にするものが、肉体と意志の強さです。

 

「美しく」は、美を感じ取る人になってほしいということです。多くの人が見過ごしてしまうものの中にも本当の美があることもあります。美を発見できる人になって欲しいということです。

 

生徒の皆さんには、高校生活を通して、知、徳、体のバランスがとれた生徒となり、何事にも果敢(かかん)に挑戦し、地域、社会に貢献できる人間に育って欲しいと思います。

 

この素晴らしい校訓、「明るく、清く、正しく、強く、美しく」を胸に、高校生活を送って欲しいと思います。

 

では、1学期に続き、あいさつ、服装、清掃等、人としての礼節を厳守し、充実した2学期にしましょう。以上で講話を終了いたします。

 

1学期終業式 校長講話

今日で1学期が終わります。まずは、皆さんがこの数ヶ月を無事に過ごし、学び、笑い、時に悩み、落ち込んだりしながらも、ここに立っていることに、拍手を送りたいと思います。

 

私は長く教師をしてきました。37年目です。教壇に立ち、生徒たちと向き合い、時には厳しく、時には冗談を交えながら、共に時間を過ごしてきました。今は校長という立場ですが、心の中ではいつも「先生」であり続けたいと思っています。教育とは世界を変えるために用いることができる最も強力な力であり、これを専門の職業にしたことを誇りに思っています。教師とは肩書きではなく、心のあり方だと思います。

 

さて、今日はみなさんに3つの話をしたいと思います。

 

1つ目は、「自分を大切にすること」についてです。

みなさん、最近、自分のことをちゃんと「好き」って言えていますか?「自分なんて」「どうせ私なんか」って思ってしまうことがあるかもしれません。でも、それは違います。あなたは、あなたにしかない価値を持っています。誰かと比べる必要なんて、まったくありません。

 

皆さん、教育って「自己肯定感」を育てることだと思いませんか。自分を信じる力、自分を認める力、それがあると、どんな困難にも立ち向かえます。だから、自分をちょっと褒めてあげてください。「よく頑張ったね」って、自分に言ってあげてほしい。

自分を褒めるために、褒められることを沢山してみましょう。

 

2つ目は、「人との違いを楽しむこと」について

この学校には、いろんな個性を持った人がいます。明るい人、静かな人、運動が得意な人、絵が上手な人、楽器を上手に引ける人、ちょっと不器用な人……みんな違って、みんな素敵です。

 

でも、時々「違い」が「壁」になってしまうことがあります。「あの子とは話が合わない」「なんか苦手」って思ってしまうことがあるかもしれません。でも、それって、もったいないです。違うからこそ、学べることがある。違うからこそ、世界が広がるのです。正義の反対は別の正義。それぞれが正義を主張し、折り合わなければ、結局自身も含めた全体が滅びることになる。これは世界・会社組織・友人関係などすべてに当てはまることではないでしょうか。

 

この夏休み、ぜひ「違う世界」に触れてみてください。本を読んでもいいし、誰かとじっくり話してみるのもいい。「へぇ、そんな考え方もあるのだ!」って思えたら、それはもう、立派な成長です。

 

3つ目は、「心の声を聴くこと」について

みなさん、忙しい毎日の中で、自分の心の声、ちゃんと聴いていますか?「疲れたな」「ちょっと寂しいな」「誰かに話したいな」って思っても、つい我慢してしまうことがあるかもしれません。でも、心の声を無視し続けると、心が風邪をひいちゃいます。だから、どうかこの夏休みは、心の声に耳を傾けてください。泣きたいときは泣いていい。誰かに頼ってもいい。「助けて」って言えることは、弱さじゃなくて、強さです。

 

そして、誰に相談したらいいか悩んでいるのであれば、校長室に来てください。教頭先生や授業やホームルームで関わりの少ない先生と相談するのもいいかもしれません。校長室は、そんな場所としても遠慮なく使用してください。

 

最後にこの夏休み、スマホを置いて、空を見上げてみる。文明の利器を使わず、1学期を振り返りながら、1学期を反省してみてください。

 

もし、「美しくなりたい」って思ったら、誰かの真似じゃなくて、化粧じゃなくて、自分の中の美しさを信じてみてください。写真には映らない美しさとは、人に見えないかもしれない努力の軌跡だと思います。

 

それでは、2学期、また元気な顔で会いましょう。自分の力で有意義な夏休みにしてください。

 

それでは、よい夏休みを!

 

入学式式辞

春の日差しが日ごとに強く降り注ぎ始め、頬を伝わる風も温かくなりました。校庭に咲く桜が新入生の門出を祝福してくれているかのように咲き誇っているこの佳き日に、同窓会会長 内田義雄 様を始め、多数の御来賓と保護者の皆様の御臨席を賜り、令和7年度 群馬県立吉井高等学校 第51回入学式をこのように盛大に挙行できますことは、教職員一同の大きな喜びであり、心より厚く御礼を申し上げます。また、今日まで手塩にかけ育てあげ、めでたく入学の運びに至りました保護者の皆様のお喜びはひとしおのことと、心からお祝い申し上げます。

 

只今、本校への入学を許可いたしました109名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。在校生、教職員一同、心から歓迎します。

 

さて、本校は、昭和50年4月に開校し、今年で創立から51年目となります。

本校の沿革を顧みますと、昭和四十九年十一月一日に「群馬県立吉井高等学校」として開校準備が始まり、昭和五十年四月七日、一学年八クラスの普通科高校として、第一回の入学式が執り行われました。この記念すべき第一回入学式は、体育館が未完成であったため、校庭で行われました。360名の一期生は、真新しい制服に身を包み、希望と期待に胸を膨らませ堂々とした立派な入学式であったそうです。新入生代表が「一期生である自覚を持ち、明るく、正しく、清く、勉学に励む」と宣誓し、歴史的な一歩を歩み出しました。

 

その後、平成十二年度には、普通科から総合学科へと学科改編し、地域と共に社会の変化に対応してまいりました。この50年の間には、先輩方の苦労があり進路や部活動での活躍があり、東日本大震災やコロナ禍を乗り越えて今日に至っています。この校舎はこのような50年の歩みを見つめており、皆さんは新たな50年の歩みに加わることとなります。

 

吉井高校での新しい生活が始まるにあたり、勉強のこと、友達のこと、部活動のことに、期待と不安が交差していることと思います。隣にいる友達をみてください。みんな同じ想いでいます。もちろん我々教職員は、皆さんが高校生活を順調にスタートできるように全力でサポートします。しかし、切り開くのは皆さんです。義務教育が終わり、自分で選んで本校に進学してきました。高校生活は誰かが楽しませてくれるものではありません。自分で仲間をつくり、燃焼し、納得するなかで獲得したものが宝となります。

 

宝を得るために、1年生の皆さんには、大きな声で挨拶することを習慣としてください。「おはようございます。」「こんにちは。」「失礼します。」「お世話になります。」「さようなら。」と、大きな声で人より先に挨拶をしましょう。近くの友達に、教職員に積極的に声をかけてください。明るく、元気に挨拶することで、新しい友達や先輩ができます。

 

青春時代とは、悩みや迷いの時期だと思います。自分のことを周りはどうみているのか、どういう存在なのか、いかに生きるべきが、自分の容姿や能力ばかり気になり、いら立ち悩み、学校に足が向かないで悩むこともあったのかもしれません。

 

山田かまちという高校生がいました。高崎市に生まれ、絵の才能に恵まれた山田かまちは、高校1年生の時に、エレキギターを弾いている最中に、感電死してこの世を去りました。彼の作品に接したある画商が、一人の少年の美術館「山田かまち水彩デッサン美術館」を開館しました。この少年の遺作を展示する美術館には、若者が押し寄せ、「かまち現象」とよばれるほどでした。彼は、絵だけでなく、おびただしい数の詩を書き留めていました。彼の言葉は、時代を超えて伝わるものだと思います。

 

皆さんの入学を寿ぎ、一編の詩を贈りたいと思います。作者は山田かまちです。

 

この部屋にとじこもっていてはだめだ。

「この部屋にとじこもっていた時の歌」 ができてしまう。

言葉でいくら素晴らしいことを言っても、

感じさせることができなくては、何の意味もない。

そんな時、言葉というのは

ただ足でまといになるだけ・・・。

足を地につけ宇宙を忘れる

誰もがやってる誤りさ・・・。

地面との距離をはなさないで

体を空間に浸そう

現状でいいと妥協したら、

その瞬間から、すべては終わり始める。

 

高校時代は、かけがえのない青春時代だと言われています。しかし、かけがえのない生き方ができているのでしょうか。かけがえのない人生を生きるとは、二度と戻らない今を全力で走ることだと思います。

 

新入生の皆さん、失敗してもいい、でも挑戦すること、自分を信じて、あきらめずに、吉井高校で多くの先生方と友達に心を開いて、指導を仰ぎながら、かけがえのない高校時代を全力で生きることを今、心の中で誓ってください。

結びに、今、新たな道を歩み始めた新入生の皆さんが、吉井高校での3年間で大きく成長されることを祈念するとともに、ご来賓並びに保護者の皆様方におかれましては、本校に対する特段の御支援・御協力をお願い申し上げ、式辞といたします。

 

令和七年四月八日

 群馬県立吉井高等学校長 佐藤 治彦

令和7年度1学校始業式 校長講話

皆さんおはようございます。

 

いよいよ令和7年度1学期が始まりますが、新しいクラスの友達や担任の先生、そして先ほど新任式で紹介しました7名の先生方との新たな出会いが、皆さんの夢や目標を叶えるための出会いになるよう願っています。

 

令和7年度が始まるにあたり、2年生・3年生の皆さんにお願いがあります。本日、第51期の入学生を迎えます。新入生の皆さんが早く学校に慣れるよう、良き先輩として心遣い、気遣いをしながら、高校生活が順調にスタートできるように、良き見本となってください。繰り返しますが、良き見本となってください。

 

今日は、1学期の始業式にあたり、皆さんに守ってもらいたいことや希望することをお話したいと思います。

 

次の6点をお願いします。

①  「やりたいことをやる前に、やるべきことをやる」

②  「毎日、休まず、遅刻せずに登校する」

③  「小さな努力の積み重ねを大切にする」

④  自由の意味を理解し、「規律ある学校生活」を送る。

⑤ 相手の立場や状況を理解し、人種、国籍、信条、などの多様性を互いに認め合い、敬意と尊厳をもって接する。

⑥  元気よく挨拶、みっちり勉強(時間や期限、身だしなみ等の授業規律を図る)、しっかり清掃

 

以上の目標を向かって、円滑にクラス運営を行うために、1・2年生についてはチーム担任制を試行します。昨年度のように、クラスごとに正・副担任を配置するのではなく、学年(2学年に)に学年主任・副学年主任と担任を配置し、チームで生徒一人一人の良さや改善点を複数の目で把握し、日々の教育活動にあたります。簡単に言うと、生徒からすると今まで一人だった担任の先生が複数いるイメージです。生徒の皆さんにとっても、いろいろな先生方と触れ合うことで相談できる先生が増えるとともに、自分の視点を広げることにもつながります。具体的な運用については、学年主任の先生等から説明していきます。3年生については、昨年度と同じく、クラスごとに担任を配置します。

 

2・3年生の皆さん、群馬県教育ビジョンでは、生徒の皆さんを「一方的に教えられ、守られるだけの子ども」とは考えていません。吉井高校も同じです。皆さんそれぞれの年齢や状況に応じて、自分の頭で考え、判断し、行動できるようになるための力を身に付けてほしいと願っています。そのために、教育の不易の部分である先ほどお願いした「6点」を達成するために、流行である「チーム担任制」を試行します。初めての試みですので、うまく機能しないこともあるかと思いますが、失敗を恐れずに挑戦することが、本校開校以来の伝統ですので、本校をより良きものにしていくために、生徒の皆さんと教職員とが力を合わせ取り組んでいきましょう。

 

以上、いい汗を沢山かいて、素晴らしい1年になることを願って、1学期始業式の挨拶とします。